写真:「凰稀かなめ Xmas Dinner Show 2015」から=撮影・西脇健太(ラウンド・アバウト提供)


昨年12月24日、凰稀かなめのディナーショーがヒルトン東京お台場で開催された。映像を駆使し、歌ありダンスあり、手品やショートコントまで、クリスマスらしい演出も織り込まれた、盛りだくさんなショーとなった。(演劇ジャーナリスト・中本千晶)

 凰稀は宝塚の男役時代を彷彿(ほうふつ)とさせる凜々(りり)しい姿や、女性らしいエレガントさを見せる一方で、おちゃめでコミカルな場面も多かった。バラエティーに富んだ構成の中で、ちゃめっ気やツンデレな一面など多彩な顔を見せ、そのギャップでも観客をとりこにしていたようだ。

 2015年初めに宝塚を卒業して以来、これまで舞台に登場する機会があまりなかった凰稀の、待ちに待ったディナーショーということで、客席もただならぬ熱気にあふれていた。クリスマスイブを彩った華やかなショーの様子をお伝えしよう。

(1)場面が終わるごとに、クリスマスツリーが?

2016年1月12日更新

写真:「凰稀かなめ Xmas Dinner Show 2015」から=撮影・西脇健太(ラウンド・アバウト提供)

 幕が開き、黒のパンツスーツでさっそうと登場した凰稀。今回のディナーショーのために作られたという「Gift for You」を歌い始めたと思ったら、突然伴奏が止まり、小南竜平扮するクラウンが何やらお願いを……? 背景に目をやると、白い枝のモミの木が映し出されている。どうやらこれをクリスマスツリーとして完成させて欲しいということらしい。

 凰稀が赤いジャケットを羽織ると舞台は一転ラテンな雰囲気に。「コンガ」「エル・クンバンチェロ」「そよ風と私」を熱唱し終わったところで、モミの木にはまず赤い飾りがついた。こうして一場面が終わるごとにツリーが飾り付けられていくという趣向である。

(2)タップも踊って、宝塚時代の懐かしい名曲も

2016年1月12日更新

写真:「凰稀かなめ Xmas Dinner Show 2015」から=撮影・西脇健太(ラウンド・アバウト提供)

 続いては楽しいクリスマスソングコーナー。白い上着を身につけた凰稀が2頭のトナカイ(平澤智・小南)とともに、おなじみの「サンタが街にやってきた」「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」を歌いながら会場を回る。トナカイたちはクリスマスプレゼントを配り、客席も大変な盛り上がり。ツリーには白い雪が積もり、ホワイトクリスマスである。凰稀が「皆さんと乾杯!」と、大きなグラスに並々と注がれたぶどうジュースを一面に振りまくと、そこにはピンクの紙吹雪が舞い散り……そんなマジックも披露する。

 次は青の上着に着替えソフト帽を被った凰稀。「It don’t mean a thing」の曲に合わせて、平澤とともにタップも踊ってみせる。客席から「カッコいい~!」との声が飛ぶたびに「知ってる」と応える。こんな答えが決まるのもスターの証しということか。ツリーには青の飾りがつき、更に華やかさが増す。

 ここで凰稀はいったん退場するが、再び登場したときはゴールドのスカート姿だ。 平澤、小南と共に「ニューヨーク・ニューヨーク」を小粋に歌い、クリスマスツリーのてっぺんにも金の星がついて見事完成した。

 だが、この後は軍服を彷彿とさせる紫のスーツ姿に早変わり。「うたかたの恋」「シトラスの風」「手を伸ばせば」「アシナヨ」と、宝塚時代の懐かしい名曲も聞かせる。そして、“最後の一曲”として、冒頭でお預けとなっていた「Gift for You」を歌う。舞台の後ろには虹が映し出されていた。

(3)緑ジャージーから一変、白いドレス姿に

2016年1月12日更新

写真:「凰稀かなめ Xmas Dinner Show 2015」から=撮影・西脇健太(ラウンド・アバウト提供)

 もちろんショーはここで終わらない。会場後方から着物姿の「座長」と名乗る男性(平澤)が登場。ひとしきりの会場いじりの後、先ほどまで背景に映し出されていた「虹」の七色にかけて「赤、青……緑! 緑の凰稀かなめと言えば?」。「風と共に去りぬ」の名曲「Night&Day」が流れ始め、客席の期待も最高潮に!?

 ……ところが、ライトがついたとき、そこに立っていたのは「緑」のジャージー姿、マッシュルームカットの黒髪にビン底眼鏡をかけ、「アナと雪の女王」のオラフのポシェットを肩からかけた男の子!? こちら春に行われたコンサートにも登場した「付き人君」というキャラクターである。

 この後は、「アナと雪の女王」の「Let it go」や「雪だるまつくろう」を歌いつつ、平澤と凰稀で「座長と付き人君」のショートコントが続いた。

 だが、最後の最後はガラリと雰囲気を変え、金髪をオールバックにまとめ、シンプルな白のロングドレス姿に。「Goodbye Day」を歌って締めくくった。その姿からは、これから女優としての一歩を踏み出す覚悟も感じられるようだった。

 最後のあいさつでは「なかなか皆さんとお会いできる機会がなくて、ご心配をおかけしたかもしれない。でも、これからのことを考えるのに時間がかかりました」と率直に話した凰稀。ご無沙汰になった分、楽しんで欲しいという、凰稀らしいサービス精神を感じさせるショーであった。


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