擷取_2016_02_29_21_28_49_384.png

フレンチ・ロック・ミュージカル「1789 ―バスティーユの恋人たち―」(以下「1789」)が、4月から6月に帝国劇場と梅田芸術劇場メインホールで上演される。本作にマリー・アントワネット(以下、マリー)役で出演する凰稀かなめの合同取材会見が大阪で行われた。(ウエストプラン・真名子陽子)

 

 宝塚歌劇団を退団して1年が経ち、本格的な舞台出演は初めての凰稀。姿も公の場で初披露というワンピース姿。マリー役のことや女優としての思いなどを飾らない言葉で語ってくれた。

 またスターファイルは、昨年末に出版された写真集「IOLANA」についても聞いた。

 

凰稀:今回、小池(修一郎)先生からお話をうかがい出演を決めました。宝塚の「ベルサイユのばら」のマリーでしたらお断りしていましたが、「1789」のマリーは、あまり女性女性していない現代的な要素を含んだ役でしたので、初めての女性役としてはいい勉強になるかなと思いお引き受けしました。ドキドキしているのですが、これからは女優として生きていかないといけませんので、不安はたくさんありますが、楽しんで演じたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 

記者:宝塚時代は「ベルサイユのばら」のオスカルとして、マリーを見ていましたが、今回自身が演じるにあたって、マリーをどのように見ていますか。

 

凰稀:「ベルサイユのばら」では、やはりオスカルの立場でマリーのことを考えますので、どうしてもマリーをかばってしまうんですよね。けれども、今回は自分がマリーとして考えないといけない。政略結婚でしたが、元々裕福な家で育ち、さらに王妃になって、裕福の頂点にいる女性です。「パンがなければお菓子を食べればいい」と言いますが、マリーの立場で考えると、そういう環境でしか育っていないからわからないんですよね、民衆には食べるものがないということが。だから、そんなことを言ってしまうし、悪いとも思っていない……。立場が変わって、今はマリーのことをそういう風に見ていますね。

 

記者:マリーを演じるにあたって、今から気をつけていることは?

 

凰稀:女性の声が出るようにボイストレーニングをしています。この1年、女性に戻ることを優先してきて、舞台に出る出ないに関わらずトレーニングをしてきました。そんな時にこのお話をいただいたので、実際、舞台に向けてトレーニングをしていけばいいかなと思っています。

 

記者:「1789」は「フレンチ・ロック・ミュージカル」ということですが……。

 

凰稀:初めて聞きました。最初はどういうものであるかわからなかったのですが、フランス版を見て少し理解できたかな、という感じです。外国では一つの言葉で気持ちの表現ができても、日本語にするといくつかの言葉で表現しないといけなくて、海外のミュージカルを日本語で表現するのはとても難しいと思っています。でも今回、そこに挑戦するのでどういうふうに表現したらいいか、自分なりに考えていきたいです。日本のミュージカルは流れをすごく大切にします。楽曲や歌詞を大切にしつつ、状況やセリフをすべてマッチさせないと成り立たない。ただ、カッコいい、キレイだけで終わらせないよう、軽くならないようにしないといけないなと思っています。

 

記者:ポスターを撮影した時、また出来上がったポスターを見た感想は?

 

凰稀:まったく見慣れないです! 肌を露出したことがなかったですし、素顔に口紅をつけている女性の自分が想像つかなくて、受け入れられないんです。これは男役をした人にしかわからない感情だと思いますね。普通に女性だよと言われても、納得したくない自分がいたりして……でも納得して女性にならないといけないんですけどね。1年たってもやっぱりクセはなおらないなと、今、大変な思いをしております(笑)。

 

記者:男役のクセはなかなか取れないものですか?

 

凰稀:取れませんっ!(笑) 十六、七年男役として過ごしてきましたから。声の高さや役の年齢に合わせて作り上げていく作業をしてきたので、元に戻すというより、もう一度はじめから作りなおさないといけないんです。女優1年生なんです。

 

記者:宝塚を退団して、驚いたことや新鮮だったことなどはありますか。

 

凰稀:……特にないですね。なるべく現役時代から外の世界を見るように意識をしていましたし、宝塚がすべてではないと思っていましたので。新鮮かどうかわからないですが、宝塚時代は太陽にあたることがほとんどなかったので、太陽にあたることや、目覚ましをかけずに寝ること、スーパーへ買い物に行くこと……普通のことがとても幸せに感じます。

 

記者:生活の中で特に変わったことはなんでしょう?

 

凰稀:たくさん寝られるようになりました、これが一番大きいです! 宝塚にいた時、お稽古中の睡眠時間は3時間でした。思いつめる役や追い詰められる役が多かったので、自分で追い込んでしまって。役のことばかり考えていると、寝る時間を忘れてしまうんです。公演中は絶対に8時間寝ると決めていましたが。

 

 でも、1月半ばから急に気が立ち始めてしまって……。マリーのことをいろいろとイメージして、考え始めたからかもしれないです。また、戻ってしまいそうですね(笑)。

 

記者:ブログに「マリー・アントワネットが降りてきた」と書いていましたが……

 

凰稀:ふとした瞬間に、考えてしまうんです。どうすれば自分の心がマリーに向くかなと。自問自答しながら相手(役)との距離を縮めるようにしていくんです。イメージを膨らませていくと、朝が来るのが怖くなったり、暗くなると眠れなくなったり……独房にいるマリーに近くなっている感覚なのかな……。そういう役づくりをします。宝塚時代も、頂いた役に似た状況を作って、セリフ以外のことをイメージするようにしていました。そうすると、勝手に違うセリフが出てくるので、それを先生に提示してたりして……。作品作りと役作りをしていたので少し大変でした、現役時代は。

 

記者:女性役を演じることで、日々の生活の中になにか変化はありましたか?

 

凰稀:ネグリジェを買いました。インターネットで(笑)。今日、公の場で初めてスカートをはいたのですが、音楽学校の制服以来です。やっぱり慣れないです。スカート姿で歩くということが恥ずかしい! 家なら大丈夫だろうと思って買いました、マリーに近づけるように。

 

記者:花總まりさんとのWキャストについては?

 

凰稀:最初は、「えっ!?」と驚きましたが、まったくタイプが違いますので。ごあいさつに行ったら花總さんも「タイプが全然違うしね。(退団後)初めての舞台だし、なにかあったらいつでも言ってきて」と優しく接してくださいました。まったく違うものを見られるのがWキャストのだいご味だと思います。持ち味がぜんぜん違うので、確実に違うものになると思っています。そして、女性の気持ちやしぐさなど、花總さんはじめ共演する女優さんから“女の子”を学びたいですね。

 

★スターファイルでは、写真集「IOLANA」について聞いた。

 

――ハワイというのが意外でした。

 

 少しゆっくりしたいねと話していたのもあって、それならハワイがいいんじゃないかと……。あまり細かいコンセプトを決めずに、撮影しました。その時の雰囲気や感覚で撮りたいなという思いがあったので。小物や衣装なども現地調達して、自分たちでいろいろと考えながら作りました。とても開放的で自然ばかりなので、山や海がテーマになっていきましたね。

 

――タイトルもハワイ語ですね。

 

 すごく悩みました。なかなか決められなくて、もう決めないといけないっていう時に、「アロハ」ってハワイの言葉があるならほかにもあるだろうと、いろいろ調べたんです。その中から、「宙高く飛ぶ鷹(たか)」という意味の「IOLANA」に。強そうでカッコいいねって決めました。

 

――ファンの方のコメントに、「衝撃」や「セクシー」といった声があります。

 

 最初はどう感じてくれるだろうかと戸惑いや不安はありましたが、みなさんに喜んでいただけたなら、もうそれだけで十分です。

 

――ファンミーティングを開催するなど、退団されてからもとてもファンの方を大切にしていますね。

 

 宝塚にいた時は、劇場に行けば会えるという状況でしたが、今はそうではないので、ファンの方が寂しい思いをするかなと思い、なるべく情報を出していこうと思っています。ファンミーティングもせっかく学園(=オフィシャルファンクラブ「KANAME学園」)にしたので、おもしろい企画をしたいねと。あとは、「忘れないでね」っていう思いです。

 

――「忘れないでね」?

 

 ……どちらかというと、「忘れんなよっ」「忘れんじゃないよ!」って感じです(笑)。スカート姿で……すみません! 学園長はSッ気が強くて(笑)。男っぽい学園長と女っぽい副主任と、いろいろ考えながら私自身が楽しんでいます。

 

――スターファイルの読者の方へメッセージをお願いします。

 

 女子として初めての舞台、興味本位の方も楽しみにしている方もいらっしゃると思います。たぶん、想像通りじゃないマリーになると思います。

 

――それを期待していますが……

 

 期待しないで(笑)、楽しみに見にいらして下さい!

arrow
arrow
    全站熱搜

    neko Chan 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()