朝日新聞紙面より】礼真琴、柚香光(ゆずかれい)、月城(つきしろ)かなと――。この若き男役スターたちはそろって95期。加えて実咲凜音(みさきりおん)、愛希(まなき)れいか、妃海風(ひなみふう)(次期)と5組のうち3組のトップ娘役もそうだ。今をときめく95期生の勢いが止まらない。

 「どんぐりのせいくらべと言われ、怒られ続けた。でも同期は誇りです」

 こう話すのは、95期の先頭をひた走る礼だ。2009年に宝塚音楽学校を首席で卒業。すでに宝塚バウホール公演の主演や全国ツアー「風と共に去りぬ」のスカーレット役などを演じて人気がブレーク。歌劇団側も大きな期待を寄せている。

 礼は95期を「あまりまとまりがない」と評する。「個性豊かで、自分にないものをみんないっぱい持っている」。同期会では音楽学校予科(1年)時代の思い出話で盛り上がるという。初舞台のラインダンスの映像を見ては、「もう大爆笑ですね」。

 芸名の「礼」の文字は、退団するトップスター柚希礼音(ゆずきれおん)からもらった。「まこっつぁん」と呼んでもらい、入団以来、その大きな背中をひたすら追ってきた存在だ。「学んでも学んでも足りない感じ。『歌もダンスも心情で』という柚希さんの言葉を大切にしたい」

 2月24日に宝塚大劇場である星組「黒豹(くろひょう)の如(ごと)く」の新人公演で主役を務める。「いつまでも下級生と思っていましたが、もう私たち、新公ではひっぱっていく立場なんですよね」'

(1)「負けられないし、追いつきたい」

2015年2月4日更新
写真:花組の柚香光。「ノクターン」から=滝沢美穂子撮影花組の柚香光。「ノクターン」から=滝沢美穂子撮影

 95期で礼と肩を並べるスターといえば、花組の柚香だろう。バウホール公演「ノクターン」では年上の女性に翻弄(ほんろう)され、父と三角関係になる役を好演。「エリザベート」でも新鋭の出世役・ルドルフ皇太子に抜擢(ばってき)された。まだ粗削りだが、陰のある役がよく似合う。歌への苦手意識を克服すれば、大きく花開くはずだ。

 その柚香と「いつか共演したい」と語るのは、月組の朝美絢(あさみじゅん)。初主演した「PUCK(パック)」新人公演では説得力のある演技を見せた。「同期の舞台を見ると、成長しているなあとわかる。負けられないし、追いつきたい」。身長は高くないが、同じく大柄ではないが実力派の元トップスター霧矢大夢(きりやひろむ)が目標だ。

(2)男役・娘役 全組トップの夢

2015年2月4日更新
写真:雪組の月城かなと。「ファンシー・ガイ!」から=滝沢美穂子撮影雪組の月城かなと。「ファンシー・ガイ!」から=滝沢美穂子撮影

 雪組の月城は「礼や柚香のような一歩先を走る同期にたどりつけるよう、頑張らなければと思う」。同期が活躍する舞台は必ず見るという。端正なたたずまいで和物がはまる。「品のある男役を目指したい」

 娘役も負けてはいない。すでにトップ娘役として活躍する宙組の実咲は芝居、歌ともに秀で、月組の愛希は切れのいいダンスで魅了する。5月に星組トップ娘役となる妃海は舞台度胸が満点だ。

 トップだけでなく、宙組の伶美(れいみ)うららはシアター・ドラマシティ公演「翼ある人びと」でクララ・シューマンをしっとりと演じた。落ち着いた大人の女性が似合う貴重な存在だ。「男役と引き立てあって輝く娘役になりたい」と頼もしい。

 95期生は、5組すべての新人公演で男役、娘役ともに主演を果たした。いつの日か全組のトップスターがそろうかもしれない。「95期伝説」はもう、始まっている。(谷辺晃子、河合真美江)


arrow
arrow
    全站熱搜

    neko Chan 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()