我が名はオスカル、凰稀(おうき)かなめ。宝塚歌劇100周年に「ベルサイユのばら」オスカル編が登場した。宙組トップスター凰稀が宝塚大劇場で気迫のこもった演技をみせている。いまの時代に生きる、2014年のオスカルとは――。

 男装の麗人オスカルが荒くれ者の集まる衛兵隊で部下と信頼を結び、愛に身をゆだねながらもフランス革命に散っていく。1974年の月組初演から40年。ベルばら史上3度目のオスカル編には王妃マリー・アントワネットも、その恋人フェルゼンも出てこない

(1)苦悩の姿力強く 女心こまやかに

2014年5月20日更新
写真:「ベルサイユのばら」のオスカルを熱演する宙組トップ凰稀かなめ=兵庫県宝塚市、滝沢美穂子撮影 「ベルサイユのばら」のオスカルを熱演する宙組トップ凰稀かなめ=兵庫県宝塚市、滝沢美穂子撮影

 「まさにオスカルの声だ」。脚本・演出の植田紳爾が、その声にほれこんだ凰稀。池田理代子の原作を読みこみ、プラチナブロンドの髪も忠実に再現した。「漫画に近い男前なオスカルに。悩み、成長する姿を演じたい」と凰稀。

 苦心の演技で理想の上司像がたちあがった。平民出身で屈折した部下たちを率い、悩みつつ決断を重ねる。「責任は私がとる!」。その力強い声。一方で、幼なじみアンドレの思慕にこたえる女心は震える声でこまやかに。

 毒殺未遂、今宵(こよい)一夜、バスチーユ攻撃とベルばらには名場面の型がある。それも感情が深まってこその型。感情を声にのせ、むきだしにしたのが凰稀オスカルだ。

 「意志を貫くオスカルはかっこいい。いま社会に出る女性は多いけれど、昔それが果たせなかった女性の思いをかみしめ、いまの私のオスカルを見せます」

 今回、オスカル誕生の場面が描かれ、1幕が一新した。オスカルがペガサスにのって飛ぶ場面もお楽しみ。「小林一三が100年前に抱いた目標が、家族で楽しめる娯楽ですから」と植田は話す。フィナーレも新演出で、凰稀はオスカルであり続ける。「髪の毛まで芝居して踊ってほしい」と植田は求めた。

 ただ、劇中、オスカルの姉たちが並んで順番に話す場面が何回かあるが、一様に舌足らずなセリフ回しで興ざめな印象も。アンドレ(朝夏〈あさか〉まなと、緒月遠麻〈おづきとおま〉の役替わり)がオスカルと育ってきた経緯もはしょられてわかりにくい。

 ベルばらは東京公演で動員500万人を超える。息の長い魅力について、演劇評論家の小藤田(ことうだ)千栄子はいう。「仕事のできるブロンドの美女で大モテのオスカル。女性差別が激しい18世紀のフランスで男性のように活躍し、革命では人民にくみする。さらに、家族の愛に支えられ、ホームドラマの一面ももつのです」

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