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元月組トップスター、剣幸も演じた役に挑戦することになり「プレッシャーですが、新たな気持ちで作りたい」と意欲を見せる緒月遠麻

 雪組男役スター・緒月遠麻が14日からスタートする全国ツアー「情熱のバルセロナ」(12月13日まで)で大役ラファエルに挑むことになった。同作は、大地真央&黒木瞳が月組トップコンビに就任した時のお披露目公演で、緒月が演じるラファエルは当時準トップだった剣幸が熱演し話題になった役だ。クールな本格派はもちろん、悪役から3枚目と幅広い役どころで舞台に華を添える緒月に、またひとつ引き出しが増えそうだ。

 抜群の存在感を生かし、3枚目から悪役と、役の幅を広げてきた緒月に名作の大役が回ってきた。今回は歌唱力を誇った剣が演じた役とあって、歌での聞かせどころが多いのもポイントだ。「そもそも登場が歌なんですよ。それにすごいプレッシャーを感じていて(笑)。アカペラで歌って、しばらくしてジャジャ~ン!って演奏が始まる。一番緊張するパターンでしょ? 初めてビデオを見た時はびっくりしました。さすがに『この登場場面は変わるだろうな』って思ったのに、変わらなかった(笑)」。冗談めかして笑わせたが目は真剣だった。

 トップスター水夏希演じる貴公子・フランシスコと親友であり、彼が事件に巻き込まれ、投獄されるきっかけを作る重要な役どころ。「自由主義の詩人なんですけど、自由奔放にしていながらも政治的な背景を感じ、何かに追われている恐怖感を出すのが難しい。でも、そのあたりをしっかり出したい」と話した。

 剣は大地が退団した後、5年半もの間、月組トップスターに君臨。その歌唱力はもちろん、演技力にもたけた実力派だった。「情熱の-」上演当時、剣は入団9年目。今の緒月より1年下だった計算だ。「今の自分が当時の剣さんと同じようなモノが出せるのか? て思いますよね。プレッシャーはありますけど、新たな気持ちで作りたい。やる人が違うと違う作品に見えるとも思うし」と言葉を選びながら話した。

 174センチの長身に長い手足。加えて日本人離れした顔立ちで、下級生のころから舞台での存在感は抜群だった。最近では飛躍的に役の幅も広げている。「ベルサイユのばら」での男っぽい荒くれ軍人・アランはハマリ役だったし「ZORRO 仮面のメサイア」での3枚目軍曹は客席を大いに笑わせ新境地を開いた。

 「あの役は本当に楽しかったですね。おバカさんな役だから変な心配がいらないんですよ。例えば歩いてて足をぐねったり、声が裏返ったり…。ついついやってしまいがちな事に変な神経を使ってしまうんですけど、あの役はどんな事してもOKでしょ? だから逆に芝居に集中できた。客席の笑い声も聞こえなかったぐらいですから」。

 「男役10年」と言われる世界で、今年は大きな節目の年だった。役の幅も広げ飛躍の年となったが、本人はいたって謙虚だ。「全然まだまだですよね。10年ともなると自分のことだけじゃなくて周りにも気を配らなきゃならないんですけど、いつもどこかに力が入っている。昔からのクセで力を抜いて気楽にやるっていうのができないタチなんです、不器用で。来年こそ、余裕のある上級生になりたいかな(笑)」。

 近くで話をしていても、その目力に圧倒される。舞台メークとなるとなおさらだ。「最近は悪役が回ってくることが多いですが、どんな役でも毎回同じだとダメだと思うんですよね。ちょっとずつでも変えたいし、引き出しを増やしたい。今回の役もそうありたいと思っています」。舞台人として恵まれたルックスに甘えることなく、緒月の挑戦はまだまだ続く。

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    neko Chan 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()