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再来年100周年を迎える劇団史上、最長身の179センチ。宙組の超大型男役スター悠未ひろが、来年1月9日開幕(17日まで)のシアター・ドラマシティ(大阪市北区)公演「逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース」で久々の主演を務める。現花組トップ蘭寿とむの代表作になった「逆転裁判」シリーズからのアナザー・ストーリー。前作でも検事を演じた悠未が検事主演版に臨む。東京・日本青年館大ホールは同1月23~28日。

 久々の主演公演。しかも、宝塚を飛び出して、外部のドラマシティ公演だ。

 「とにかくうれしくて。主演させていただけるんだって、喜びが大きかった」

 ゲームでブレークした「逆転裁判」は、09年2月に蘭寿の主演で舞台化。主人公の弁護士・成歩堂龍一(ナルホド)が天才検事の御剣怜侍(ミツルギ)と法廷で戦う。宝塚版では米国が舞台で、フェニックス・ライト弁護士とマイルズ・エッジワース検事の物語。同8月にシリーズ2作目が上演された蘭寿のあたり役だった。悠未はその2作目で、今回、主役のエッジワース検事を演じている。天才検事は、基本的には二枚目路線の役柄だ。

 「大好きな役。ゲームでも、ナルホド君はちょっと頼りなかったりしますが、ミツルギ君は格好いい。冷徹で完璧で、有罪判決のためには手段を選ばない。完璧な人が見せる、追い込まれたときにグッとたじろぐしぐさや、ぼそっと発する言葉がかわいらしい。そんなギャップも見せたい」

 今作に、ライト弁護士は登場せず、2人の相対場面はないが、蓮水ゆうや演じる弁護士のグレゴリー・エッジワースが出てくる。主人公の亡き父親だ。

 「ゲームファンの方は、あ! って思うかも。今回、父にあこがれて弁護士を目指していたエッジワースが、なぜ検事となったかが描かれています」

 クールな検事となった彼の秘密が明かされていく。男役としての妙味が詰まったキャラクターだ。ビジュアルは、ゲーム画像に忠実に作っている。

 「再現度を高くしたい。髪の毛の流れとか、画面でチェックしました。(毛の流れも)ちょっと後ろにとか、本当に細かいところまで。でも、慣れたら時間はかからない。逆に、いつものリーゼントの方が、時間がかかる。毛先の流れ、分け目、立たせ方がツボ」

 もともと、ゲームにはあまり興味がなく、同ソフトも知らなかった。

 「(前作出演が決まり)初めてやってみたんですが、すごくおもしろくて。ゲームって…とか思っていたんですけど、すごくはまってしまった。逆転裁判1、2、3と、逆転検事1、と、2の途中まで。シリーズほとんど(笑い)」

 趣味も仕事も、興味を持てば突き詰める。今回、自身の主演版が決まり、再びゲームをやり直し、世界観を確認もしたという。

 「エッジワース検事を代表作にしたい。(前作でも)ファンの方に喜んでいただきましたし。ゲームの動きも、緻密に。そのためか、ゲームファンで、宝塚ファンになってくださった方もいらっしゃるんです」

 そんなお気に入りのキャラクターに主演し、新年を迎える。「来年の最初が主演公演で、16年の経験を生かして、深みのある役にしたい」。悠未は97年、宙組が発足した年に入団し、配属された生え抜き。今年は大空祐飛が退団し、凰稀かなめが新トップに就いた。

 「トップさんが変わるともちろん、空気は変わりますが、宙組のパワフルさやスタイリッシュな部分は受け継がれていると思う」

 新生宙組で自分の立ち位置などを再考し、気持ちを新たにした矢先のドラマシティ公演。また違う緊張感を与えられた。

 「私、音楽学校の文化祭が(宝塚)バウ(ホール)じゃなくて、ドラマシティだったんですよ。初めて立った舞台でもあるので、縁を感じています」

 濃いキャラクターも自分の物にする存在感が武器。劇団史上最長身179センチの身長も類い希な個性だ。

 「誰にもまだ抜かされてないですね。衣装も普通にはなかなかなくて…。私、健康診断は夜に行くことにしています。1公演踊り、おけいこしてから行くと、重心が落ちて、少しは数字が小さく…本当ですよ!」

 端正な顔を崩して笑うと、舞台でのスタイリッシュさとは離れた少年っぽさがにじむ。エッジワース検事同様、ギャップも悠未の武器になる。【村上久美子】

 ◆ミュージカル・ロマン「逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース」(原作・監修・制作協力=株式会社カプコン、脚本・演出=鈴木圭氏) 同名人気ゲームソフトを題材に、09年2月、蘭寿(現花組トップ)主演で「逆転裁判-蘇る真実-」を初演。同8月に続編「逆転裁判2-蘇る真実、再び…-」が上演され、アメリカを舞台に弁護士フェニックス・ライトと、検事マイルズ・エッジワースが対決しつつも、事件を解決していく様を描いた。シリーズ3作目の今回は、エッジワース検事が主人公で、彼の苦悩、秘話が明かされる。

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    neko Chan 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()