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星組トップスター柚希礼音は、次作の兵庫・宝塚大劇場公演「ミュージカル ロミオとジュリエット」(31日~7月8日)で、09年6月のトップ就任お披露目以来、ちょうど5年目に入る。今年は4月に台湾公演、雪組「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」の特別出演(アンドレ役)を終え、10年夏以来、2度目のロミオだ。今回は、左右長さの違う髪形「アシンメトリー」にこだわった。ポスター写真にも凝り、新たなロミオを届ける。東京宝塚劇場は7月26日~8月25日。

 永遠の愛を描いたシェークスピアの有名な悲劇「ロミオとジュリエット」は、フランスで01年に舞台化。日本初演は柚希が率いた星組による10年夏の梅田芸術劇場、博多座公演だった。

 「あれ(初演)から何年もたち、他組や外部でも上演され、その後に挑むので、自分としても2度目の方が難しい。でも、プレッシャーはやる気に変えられる。(初演を)再現するのではなく、今の自分が思うロミオを、新たに作りたい」

 3年ぶりのロミオは大劇場公演。その間、宝塚では一昨年に、前トップ音月桂の雪組、昨年は龍真咲の月組で再演。外部でも俳優城田優主演版が上演されている。多くの「日本版ロミオ」誕生を経て、2度目の挑戦だ。「(大劇場は)銀橋があるし、新しい気持ちですね」と、新たな役柄として取り組むという。初演から、反省点もあった。

 「前は、すごい勢いで演じた感じ。そこが(ロミオの)懸命さにつながったので、前回は前回で良かったと思う。ただ(敵対一家の娘との)許されぬ結婚を誓う場面は、今回は『本当に、この人しかいない』と思う心の面で、もうちょっと繊細に作りたい。どちらのロミオも良かった、と言われるようにしたい」

 今回がトップ16公演目。5公演目だった前回とは積み重ねたキャリアが違う。他組公演や、城田主演版も観劇している。

 「全体としてはロックミュージカルなので、大人っぽく格好いいロミオとジュリエットになっている。でも本筋にシェークスピアの流れがある。彼の純粋さを出しておかないと、後半(純愛を貫こうと)神父様の前で泣く場面に違和感が出てくる。兼ね合いが難しい」

 キャリアが役作りに深みを持たせる。ビジュアルにも凝った。「前回のポスターは1回目の写真が奇跡的によくて。今回、前回より、下回ることはできませんから」。ライバルは昔の自分。特に髪形を意識した。

 「今、考えるロミオは、マニッシュというか海外男子。髪形は(左右非対称で片方が長い)アシンメトリーみたいな。そう考えながら、雑誌を見ていたら、想像通りの人がいたんです」

 心だけではない。形からも役柄へアプローチした。

 今年は4月に台湾公演を終え、帰国後は、タカラジェンヌ5人が出演したTBS系ドラマ「TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~」の収録。雪組公演「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」にアンドレ役で特別出演と続いた。

 「ドラマは、私たち5人があまりに舞台芝居をするので、ものすごく気を使われました(笑い)。ついついみえを切り、響くホールなのにすごい音量でせりふを言ってしまって…」

 アンドレ役では、初の他組への出演を経験。「けいこ場の雰囲気も(星組と)違うので、勉強になりましたね」。柚希から何かを学ぼう、盗もうとする、雪組下級生の貪欲さを感じた。その刺激で初心を思い出した。かつてあまり得意ではないと思っていた歌への取り組みがそのひとつだ。

 「音域を広げようと思っていますし、やっぱり、リズムと音程は完璧にせねば、と。お芝居を歌に乗せていく上で、リズムにのって音程を完璧にした方が、絶対に(思いを)表現できる。舞台なので、興奮すると音程が乱れがちなので」

 就任5年目も、つねに新鮮さを保ち、変化を求め続けるトップスターだ。

 「イメージでは、トップさんになったら、素晴らしく出来上がっていて、もう(勉強は)いいんだと思っていたけど、そんなことはなかった(笑い)。毎作品、追求していくもの。それを続けられるか、このぐらいでいいと思うのかが大きな違い。宝塚を退団するその日まで、永遠に続けていかねばと思っています」

 豪快でパワフルなイメージの柚希だが、繊細なストイックさも秘める。「息抜きは、海外旅行。台湾の前に、ハワイでリフレッシュしてきました」。つかの間のオフ、時間を無駄にしない。トップスターは前進し続ける。【村上久美子】

 ◆「ミュージカル ロミオとジュリエット」(原作=ウィリアム・シェークスピア、作=ジェラール・プレスギュルヴィック、潤色・演出=小池修一郎氏)世界で最も知られる永遠の純愛物語。シェークスピアの原作を、作詞家、作曲家兼演出家のプレスギュルヴィック氏がミュージカル化し01年、フランスで初演。日本では10年7月、星組の梅田芸術劇場、博多座公演で初上演。11年に雪組、12年に月組で再演している。

 ☆柚希礼音(ゆずき・れおん)6月11日、大阪市生まれ。99年、雪組公演「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。星組に配属。00年、ベルリン公演参加。01年「ベルサイユのばら2001」新人公演でアンドレを演じるなど、早くから注目。03年「王家に捧ぐ歌」新人公演に初主演し、以来、5作連続で新公主演。08年「スカーレット・ピンパーネル」で悪役ショーヴラン、「ブエノスアイレスの風」で主演ニコラスを演じ、第30回松尾芸能賞の新人賞を受賞。09年4月、星組トップ就任。10年「宝塚花の踊り絵巻/愛と青春の旅だち」で、第65回芸術祭演劇の部新人賞、12年「オーシャンズ11」では、第37回菊田一夫演劇賞を受賞。身長172センチ。愛称「ちえ」。

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